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ココロバランス
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職場に居場所がない|同僚はいるのに、ひとりだと感じるとき

目次

毎日出社している。挨拶もする。仕事の会話もある。ランチに誘われることもある。

それでも、自分がそこにいるという感覚が薄い。帰り道で、今日一日誰とも本当には話していない気がする。

この状態を「人付き合いが下手だから」で説明すると、たいてい行き詰まります。実際に起きていることは、少し違うところにあります。

「所属している」と「認識されている」は別

居場所についての研究で繰り返し出てくる区別があります。集団に所属していることと、その集団から自分が承認されていることは、別のことだという指摘です。

アイデンティティに関する研究では、所属が増えることが well-being を高めるのは、その所属が他者から承認されている場合に限られると報告されています。承認されないまま所属だけが増えると、かえって well-being が下がることもあるとされています。

職場は、この構造がはっきり出る場所です。

  • 所属は確実にある(雇用契約があり、席があり、名簿に載っている)
  • しかし、承認は自動的には付いてこない

だから「所属しているのに孤独」という、一見矛盾した状態が普通に成立します。 そして、所属がある分だけ、この感覚は説明しにくくなります。「居場所がない」と言っても、まわりからは毎日出社している人に見えるからです。

所属と承認のずれについては、居場所がないと感じる大人へ向けた記事でより一般的な形で扱っています。

職場で承認が薄くなる、具体的な条件

性格の問題として扱う前に、条件の側を見ておく価値があります。

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仕事が見えない

成果が個人に紐づかない

  • 裏方・調整・下支えの業務
  • 誰がやったか分からない形の成果
  • 問題が起きなかったことが成果
  • 評価の場に出てこない仕事
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接点が業務だけ

用件以外の交換がない

  • 在宅勤務・時差出勤
  • 拠点や部署をまたぐ配置
  • 業務内容が他の人と重ならない
  • 会議以外で話す機会がない
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居合わせない

同じ時間に同じ場にいない

  • 勤務時間帯が違う
  • 出社日が他の人とずれている
  • 外回りや現場常駐
  • 中途入社で既存の輪ができている
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移動が多い

関係が積み上がらない

  • 異動や配置転換が頻繁
  • プロジェクト単位の編成
  • 契約期間が区切られている
  • 組織改編が続いている

並べてみると、どれも本人の性格とは関係がありません。 条件の問題として起きていることを人格の問題として引き受けると、対処の方向がずれます。

特に3つ目の「居合わせない」は効きます。人から認識されるかどうかは、話した量よりも同じ時間帯に居合わせた回数で決まる部分が大きいためです。出社日がいつも他の人とずれているだけで、この条件は満たしにくくなります。

「仲良くなる」を目標にしない

対処として提案されがちなのが、飲み会に参加する、雑談を増やす、といったものです。効く場合もありますが、目標としては大きすぎます。

研究上必要とされているのは、誰か一人からでも、自分の存在が認識されている状態です。全員と仲良くなることでも、輪の中心に入ることでもありません。

そう考えると、やることは変わります。

  1. 1

    同じ時間帯に居合わせる機会を、1つ作る

    出社日を誰かと合わせる、朝の時間帯をそろえる、定例のあとに5分残る。話す内容ではなく、居合わせる回数のほうが先に効きます。

  2. 2

    1人だけを対象にする

    全員に対して何かをする必要はありません。話しやすい人が1人いれば条件としては足ります。まだいなければ、いちばん接点の多い人で構いません。

  3. 3

    業務の会話に、事実を1つ足す

    雑談を発明しなくていいので、業務のやりとりに一言だけ足します。「今週はこれで手一杯です」程度で十分です。状況が共有されると、認識される側の条件が満たされます。

  4. 4

    自分の仕事が見える形にする

    裏方業務は認識されにくいので、報告や共有の場に一行残しておくと変わります。アピールではなく、存在の可視化です。

  5. 5

    3か月は評価しない

    変化はゆっくり起きます。1か月で判断すると、たいてい「効果がなかった」という結論になります。

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会話が苦手でも成立する

必要なのは会話の量ではなく、相手の側に自分の存在が残ることです。名前を知られていなくても「木曜に出社している人」として認識されていれば、条件としては成立しています。話し好きでなくても、時間帯をそろえるだけでこの位置には近づけます。

それでも合わない職場はある

条件を整えても変わらない場合があります。組織の文化が合わない、排除が起きている、そもそも人の入れ替わりが激しくて関係が積み上がらない。

このとき、居続けることを前提にしなくて構いません。 合わなかったことは、努力の失敗ではなく、その職場についての情報が一つ増えたということです。

ただし、判断のタイミングには注意が必要です。消耗している時期の判断は、自己批判の方向にも、極端な結論にも寄りやすくなります。眠れない・食べられないといった症状が出ている段階なら、進退の判断より先に受診が優先です。職場が原因で症状が出る状態については適応障害かもしれないと思ったときの記事に、人間関係が特定の相手に起因している場合は苦手な上司との距離の取り方の記事にまとめています。

職場に居場所を作らない、という選択

ここまで職場の中での話をしてきましたが、方向はもう一つあります。

職場での居心地が生活全体を左右してしまうのは、多くの場合、そこ以外に所属先がないからです。逆に言えば、仕事は割り切って、支えを別の場所に置いている人は、職場の空気に生活が引きずられません。

そして、こちらの方向のほうが自分でコントロールできます。職場の人間関係は相手がいて成立するものですが、職場の外に通う場所を作るかどうかは、自分の側で決められます。

具体的な作り方はサードプレイスの作り方の記事にまとめました。ゼロから探すのではなく、すでに行っている場所を育てる手順です。趣味の界隈が居場所として機能する条件については推し活仲間と居場所の関係の記事で扱っています。

info

数をそろえる話ではない

所属先を何個持てば十分、という基準は存在しません。研究で示されているのは所属と心の状態の関連であって、合格ラインではありません。数えて自己採点する方向に進むと、かえってしんどくなります。ゼロの人が1つ持つことに意味がある、という程度に受け取っておくのが実際的です。

ココロバランスがやっていること

ココロバランスは、心の支えを複数の「柱」として登録して、いまどこに寄っているかを見えるようにするアプリです。

この状況で効くのは、職場が生活の中でどれくらいの比重を占めているかを、感覚ではなく図で確認できるという点です。比重が大きいほど、職場の居心地が生活全体の評価になります。逆に、他に何か残っていることが見えると、同じ状況でも重さが変わります。

登録した数を数えて評価することもしません。何本あれば十分という基準は存在しないためです。記録は週に1回30秒で、毎日の入力は求めていません。

info

つらさが続くとき

孤独感や気分の落ち込みが長く続く場合は、一人で抱えずに専門機関にご相談ください。職場に産業医がいる場合はそこが最短の入口です。ほかに、厚生労働省のこころの耳まもろうよ こころから相談先を探すことができます。

参考文献

よくある質問

人間関係を良くする努力が足りないということですか?expand_more

そういう話ではありません。研究で扱われているのは、会話の量や仲の良さではなく、その集団の中で自分が認識され、承認されているかどうかです。飲み会に参加していても、業務の会話が多くても、この意味での承認が欠けている状態は成立します。逆に、口数が少なくても承認されている人もいます。努力量の問題として扱うと、方向を間違えやすい部分です。

転職すれば解決しますか?expand_more

職場の側に原因がある場合は変わります。ただし、同じ感覚が過去の職場でも起きていた場合は、環境を変えるだけでは繰り返す可能性があります。判断材料になるのは、この感覚がこの職場に来てから始まったのか、以前からあったのかです。転職は有力な選択肢ですが、まず現状で何が起きているかを言語化しておくと、次を選ぶときの基準がはっきりします。

職場に居場所がないと、そんなに問題なのですか?expand_more

職場に居場所を作らなければならない、という話ではありません。問題になるのは、職場が生活の大半を占めていて、かつそこ以外に所属先がない場合です。仕事は割り切って、支えを別の場所に置いている人は、職場の居心地に生活全体が左右されません。つまり、対処の方向は「職場で居場所を作る」だけでなく「職場以外を持つ」の2つがあります。

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ココロバランス編集部

心理学・行動科学の公開研究や書籍を参照しながら、日常で実践しやすいセルフケアの知恵をまとめています。強い不調が続く場合は、自己判断だけに頼らず医療機関や専門家にご相談ください。

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