donut_large
ココロバランス
8分で読めます

繁忙期に潰れないための備え|忙しくなる前に決めておくこと

目次

決算、年度末、繁忙シーズン、大型案件。来ることが前もって分かっているストレスというのは、実はそう多くありません。

分かっているということは、対処ではなく準備ができるということです。この記事は、その準備の中身をまとめたものです。

忙しいときに枯渇するのは、時間ではない

繁忙期の対策として真っ先に思いつくのは時間の確保ですが、実際にいちばん先に足りなくなるのは判断力のほうです。

何を食べるか、いつ寝るか、何を先にやるか、断るかどうか。こうした判断は一つひとつが小さくても、積み上がると消耗します。この現象については決断疲れについての記事で扱っていますが、繁忙期には決めることの量そのものが増えます。

だから準備の中心は、判断の前倒しになります。忙しいときの自分に判断させないよう、判断を済ませた状態で入る。これが全体の方針です。

info

根性の話ではない

繁忙期を乗り切れるかどうかを気力の問題として扱うと、乗り切れなかったときに人格の話になります。実際には、条件が整っていたかどうかの問題です。仕事の要求が高い時期に、支える側の資源がどれだけ残っているか。 産業・組織心理学の枠組みでも、消耗はこの2つの釣り合いで説明されます。

最初に削られるものは決まっている

繁忙期に入ると、生活から順番にものが消えていきます。この順番は、だいたいの人で共通しています。

looks_one

最初に消える

予定がキャンセルできるもの

  • 人と会う約束
  • 習い事・ジム・趣味の時間
  • 通っていた場所
  • 読書や映画などの余暇
looks_two

次に消える

自分ひとりで完結するもの

  • 自炊
  • 運動と歩く量
  • 身の回りの整理
  • 外に出る用事
looks_3

そのあと削られる

身体の側

  • 睡眠時間
  • 食事の回数と質
  • 休日の休息
  • 受診や通院
priority_high

最後まで残る

残ってしまうもの

  • 仕事そのもの
  • 仕事の連絡への対応
  • 翌日の段取りを考える時間
  • 頭の中での反芻

この順番が問題なのは、消える順番が、回復に効く順番とほぼ逆になっているためです。

研究では、仕事から心理的に離れられている時間、自分で決められる時間、人とのつながりが、回復に寄与するとされています。上の表で最初に消えているのは、まさにそれらです。

そして最後まで残るのは仕事と反芻。つまり、繁忙期が進むにつれて、要求だけが残って資源が消える構成に近づきます。

忙しくなる前に決めておく5つのこと

準備は、始まる前にしかできません。始まってからでは、決める余力がないからです。

  1. 1

    守るものを1つだけ決める

    全部は守れません。1つだけ選びます。睡眠時間でも、週1回の予定でも構いません。1つに絞るのは、多く決めるほど全部が崩れるからです。

  2. 2

    削っていいものを、先に決めて言葉にする

    「今月は自炊しない」「掃除は最低限」と先に決めておくと、実行したときに罪悪感が出にくくなります。決めずに削ると、そのたびに評価が一つ下がります。

  3. 3

    食事と睡眠の下限を数字で決める

    「なるべく寝る」では機能しません。「6時間は寝る」「朝は必ず何か食べる」のように数字にします。数字は、判断せずに従える形だからです。

  4. 4

    終わりの日をカレンダーに入れる

    終わりが見えている状態と見えていない状態では、同じ負荷でも消耗が変わります。おおよそでも構わないので、日付を置きます。

  5. 5

    終わったあとの予定を、先に1つ入れておく

    繁忙期が明けてから考えると、その頃には何もする気力がありません。忙しくなる前の自分が、1つだけ予約しておきます。

lightbulb

「守るもの1つ」の選び方

楽しいかどうかではなく、止めると再開しにくいものを選ぶと後で効きます。睡眠は多少削っても戻せますが、人との予定や通っていた場所は、一度止めると再開に手間がかかり、そのまま消えることが多い部類です。

期間中は、新しいことをやらない

繁忙期に入ってからのセルフケアで失敗しやすいのが、新しく何かを始めることです。

瞑想アプリを入れる、運動を始める、生活リズムを整え直す。どれも効果があるものですが、繁忙期の最中に導入すると、実行できない項目が増えるだけになります。そして「ケアすらできていない」という評価がもう一つ増えます。

期間中にやることは、すでにできていることを止めない、それだけで十分です。

もし1つだけ足すなら、短い休憩が現実的です。10分以下の休憩(マイクロブレイク)の効果を22の研究からまとめたメタ分析では、疲労の軽減と活力の向上と関連することが報告されています。ただし同じ分析では、消耗の大きい作業からの回復には10分では足りない可能性も示されています。

つまり、短い休憩は疲労感には効くが、大きな消耗を帳消しにはしない。 期待の水準はそこに置いておくのが正確です。

終わったあとが本番

繁忙期が明けて起きやすいのが、思ったより回復しないという状態です。

理由は2つあります。

1つは、休暇による回復は長続きしないことです。休暇の効果を調べたメタ分析では、休暇中に改善した健康と幸福感は、仕事に戻ってから最初の1週間のうちにほぼ消えることが示されています。繁忙期のあとにまとめて休んでも、それだけでは元に戻りません。

もう1つは、繁忙期の間に止めたものが、自動的には戻らないことです。人との予定、通っていた場所、趣味の時間。止めるのは一瞬ですが、再開には行動が必要です。そして、消耗した状態でその行動を起こすのは難しい。

だから、上のステップ5で「終わったあとの予定を先に1つ入れておく」を挙げています。判断力が残っているうちに予約を済ませておくと、再開に判断が要らなくなります。

繁忙期後にどう休むかについては、休んでも疲れが取れないときの記事で、回復する休みの条件を扱っています。

繁忙期が終わらない場合

始まりと終わりが決まっているのが繁忙期です。終わりが見えない状態が半年、1年と続いているなら、それは繁忙期ではなく常態で、備えの問題ではありません。

その状態が続いた先に来るものについては、燃え尽き症候群のサインの記事にまとめました。WHOの定義では、バーンアウトは「適切に管理されなかった慢性的な職場のストレス」から生じるとされています。管理されなかった、という部分が定義に入っていることは、知っておく価値があります。

ココロバランスがやっていること

ココロバランスは、心の支えを複数の「柱」として登録して、いまどこに寄っているかを見えるようにするアプリです。

繁忙期に効くのは、何を止めていて、何が残っているかが図で見えるという点です。削るのは必要な判断ですが、削ったこと自体を忘れると、明けたときに何を再開すればいいのか分からなくなります。記録は週に1回30秒で、毎日の入力は求めていません。忙しい時期に毎日の記録を求める設計にはしていません。

info

つらさが続くとき

繁忙期が明けても消耗が戻らない場合や、気分の落ち込み・不眠が2週間以上続く場合は、産業医や医療機関にご相談ください。厚生労働省のこころの耳には、働く人向けの電話・メール相談の窓口があります。

参考文献

よくある質問

忙しい時期に自分のケアなんてしている余裕がありません。expand_more

その通りで、繁忙期の最中に新しいことを始めるのは無理があります。だからこの記事では、忙しくなる前に決めておくことを中心に扱っています。準備が効くのは、当日の判断を減らせるからです。忙しいときにいちばん枯渇するのは時間ではなく判断力なので、判断を前もって済ませておくと実行できる確率が上がります。

繁忙期が終われば元に戻りますか?expand_more

多くの場合は戻りますが、戻り方には条件があります。繁忙期の間に、仕事以外の予定・人との接点・通っていた場所が全部止まっていると、終わったあとに再開する手間がかかり、そのまま消えることがあります。研究でも、休暇による回復は仕事に戻ると1週間ほどで薄れることが示されています。終わったら回復する、ではなく、期間中に何を止めなかったかのほうが効きます。

繁忙期がずっと続いている状態です。expand_more

それは繁忙期ではなく、常態です。この記事の想定は、始まりと終わりが決まっている期間ですが、終わりが見えない状態が続いている場合は、備えの問題ではなく働き方の条件の問題になります。消耗が続いている場合はバーンアウトの領域に入るため、産業医や医療機関への相談を検討してください。

この記事をシェア

balance

ココロバランス編集部

心理学・行動科学の公開研究や書籍を参照しながら、日常で実践しやすいセルフケアの知恵をまとめています。強い不調が続く場合は、自己判断だけに頼らず医療機関や専門家にご相談ください。

今日から、心の柱を育てはじめよう

無料プランで全ての基本機能が使えます

無料で本格診断をするchevron_right